映画『メッセージ』から読み解く6つの重要ポイント ※ネタバレ有り
5月19日に公開された映画『メッセージ』を見ました。
ネタバレ含みますが、自分なりに映画を通して重要だなと思ったポイントについて整理しておきたいと思います。
大前提として、まずはストーリー紹介です。
<ストーリー>
突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。(映画『メッセージ』オフィシャルサイトより)
突如現れた球体型宇宙船の登場。
”彼らは”<何>を伝えたかったのか?
私は6つのポイントで整理しました。
- 時間は存在せず過去・現在・未来が重畳している
- 世界が争うのではなく手を取り合って一つに調和していく
- 言語を超えるメタ言語の必要性
- 米中の世界的影響力
- 地球の外ではなく中に目を向ける
- 人類へのメッセージとは?
時間は存在せず過去・現在・未来が重畳している
人間の時間に対するイメージはどうでしょうか?
基本は過去から現在、現在から未来へ
一方向に進むイメージを持つ時間という概念
しかし主人公の言語学者ルイーズが何度も未来の物語をフラッシュバックしたように
本当の時間というのは過去・現在・未来が一方通行で進むのでなく
入り乱れた状態であるということ
人間の5感覚を超えた光よりも早いスピード感覚
過去・現在・未来を作り出す時間を生み出す時間がない世界
ここの時間という因果を超えた世界を伝えたかったのかなと思いますね。
インターステラーの映画の中にも、主人公のクーパーがブラックホールの特異点を通過し、時間も空間も入り乱れる世界に飛び込むシーンがありますね。
主人公が未来のイメージを引っ張って現実化させたように
過去・現在・未来が重畳して世界の中で
今ここどんな空間・時間を呼び込むのかというのは
人間の脳の選択次第なのかなとも思います
主人公の娘がハンナ(HANNAH)という名前で、前から読んでも後ろから読んでも同じということも大きな意味を含んでいるのではないでしょうかね。
世界が争うのではなく手を取り合って一つに調和していく
現代は争いの時代です。
いつ核戦争が始まるかわからない。
日本以外の国では紛争が未だに続いている。
目に見えない金融経済という形での格差も
金融資本を奪い合うという意味では見方を変えれば争いと言える。
多様な争いの時代の中で、投げかけられるメッセージ。
Win Loseの関係性ではなくWin Winへ。
そして、もっと言えば「お互いの利益を超えて融合しあう」世界へ。
映画の中では何ていう言葉で表現していたか・・・・忘れた。泣
とにかく、摩擦・衝突・分離・断絶というわけた世界の限界と
調和していくことの重要性を感じさせてもらえる映画です。
各国が独自に研究をして情報公開を望まずお互いに競うことも重要ですが、
それ以上に必要な時は手を取り合って融合した状態がベースになることが大切なのかなと思います。
実際、世界各国に突如現れた12個の宇宙船それぞれから得られる情報が1/12。
調和するしか道がないわけですね。
基準点が分離ではなく融合や調和に変わること。
世界各国の境界線を超えてOneWorldを目指していくことが大事なのかもしれませんね。
言語を超えるメタ言語の必要性
この映画の重要なポイントはやはり、”言語”についてでしょう。
主人公も言語学者の一人です。
宇宙船の中でヘプタボットと呼んだ”彼ら”が表す円を描いたような表義文字ですが、当然最初はなかなかコミュニケーションがうまくいきません。
「なんの目的で地球にきたのか?」
この質問を理解させるために、主人公は「HUMAN」という文字や「WORK」という文字から徐々に
文字と存在や行動の因果関係を学習させ、答えを導いていきます。
私は、この一連のやり取りの中で感じたことは
どのレベルでコミュニケーションするのか?です。
人間同士でもそうですし、人間以外の動物たちともそう。
コミュニケーションの深さ、どのレベルでやるのかということは本当に大事です。
コミュニケーションをする上で言語は道具ですし、言語の発見は人類の歴史を進化させてきた一番偉大な道具でしょう。
しかし、言語そのものに限界があるということも感じさせられます。
イメージの限界を補い
言葉の限界を補い
関係性構築の限界を補う
全ての言語を補うメタ言語。
このメタ言語の発見ができるのかということがこれからの時代のキーワードなのかなと感じます。
米中の世界的影響力
アメリカと中国は今の時代にとって2強と言える影響力を持った国です。
それは人口や土地の大きさというだけでなく、技術力も含め。
ラスト近くのシーンで主人公の女性が中国の将軍に電話することがきっかけで
中国は飛行物体への攻撃を解除するというシーンがあります。
世界を救済するのが中国なのか?
きっかけをつくったアメリカなのか?
色んな思いがこのシーンには困られてるような気がしますし
その意図はよくわかりませんが
その米中が軍事力や経済力で争うのではなく、
融合することの意味というものもこの映画から感じさせられた大きなポイントですね。
地球の外ではなく中に目を向ける
アインシュタインの一般相対性理論が有名な話ですが、
重力の大きさは相対的で天体によって変わってきます。
ただ、この映画の中では球体型の宇宙船に入る途中に、無重力になるポイントがありますね。
まさに異質な次元へ飛び込むワームホールのようなイメージ。
その描き方が私は何とも好きな感じです。
突如現れた宇宙船が、実は新しい世界、新しい時代へ導くための道しるべでもある。
それを地球という空間の中で12個の宇宙船を登場させ、その宇宙船の中に異質な空間を作りだした。
そこには、宇宙開発など地球の外へ意識を向けるのではなく、
改めて地球の中、もっと言えば自分の意識の中へ向けるべきだというメッセージなのかもしれません。
人類へのメッセージとは?
宇宙船は人類にどんなメッセージを伝えたくて地球に突如登場したのか?
それは、「認識の変化を通した未来を見る力」こそ人類を救う希望だということを伝えたかったのかなと思います。