キングダム漫画解析【意志編】”脈々と受け継がれていく意志・心” ※ネタバレ注意
キングダム漫画解析シリーズ。
『キングダム』は原泰久によって現在も連載が続いている漫画です。
以下、Wikipediaよりあらすじの概要を簡単に紹介します。
中国の春秋戦国時代を舞台に、大将軍を目指す少年・信と後の始皇帝となる秦国の王・政の活躍を中心に、戦乱の世を描く。
今回は、【意志編】と題しまして、脈々と受け継がれていく意志や心について整理したいと思います。
意志を具現化するのが人生だとするならば、出発の意志というもののセッティングが非常に重要になってきますし、その後の人生の行動に対しても大きな意味を持つようになってきます。
実際キングダムの世界でも、この意志という点ではいろんな解析ができます。
その中でもどうしてもまず取り上げたいのがやはり主人公の信、そして信と共に大将軍を夢見て稽古に明け暮れた漂の2人の共通の意志です。
漂は王弟反乱に巻き込まれ、秦国国王の政の影武者として命を落とすことになりますが、亡き漂の意志も心に宿しながら2人の夢である大望の"天下の大将軍"への道をひたすら進んでいきます。
(©原泰久/集英社 第1巻より抜粋)
(©原泰久/集英社 第1巻より抜粋)
信の物語は、漂の意志を常に心に宿しながら、百将、千人将、三千人将、四千人将、五千人将、そして将軍、大将軍へと一歩ずつ階段を登っていくわけです。
意志を具現化するという意味で、信の力強い一言があります。
秦国国王の政が山の民の王である楊端和に対して、王弟反乱の戦いのために手を貸してほしいと頼むシーンでの信の言葉。
「一番の無念は夢見てたものが幻に終わったってことだろうが!!」
「・・・・もしお前らが本気で死んだやつらのことを想うのなら」
(©原泰久/集英社 第3巻より抜粋)
この信の熱い言葉に山の民の王である楊端和も心を動かされます。
また、主人公の信に対しては、秦国の将軍だった人物さえも意志を引き継いでほしいと思わせるほど熱いものを持っているのでしょう。
自らの意志を具現化させる可能性を秘めた信。
王騎将軍が対趙戦で命を落とすシーンでも、素質があることを伝え頼もしき次の時代の芽を感じながら自らの矛を信に託します。
(©原泰久/集英社 第16巻より抜粋)
また、麃公将軍も合従軍との戦いでの死の間際に、加勢しようとする信に対して盾を投げ渡し、意志を受け継ぎます。
(©原泰久/集英社 第30巻より抜粋)
将軍の意志だけでなく、盾や矛という形としても受け継がれた信。
心に2人の将軍の意志も宿しながら少しずつ大将軍への道を進んでいきます。
意志を受け継いだなら後は、それらをどう輝かせて現実化するかです。
第40巻では、国王の政が呂不韋に対して”人の本質”について語るシーンがあります。
「これまで散っていった者達」
「王騎も麃公も成蟜も」
「そして名もなき者達も」
「形や立場が違えど皆一様に」
「自分の中心にある"光"を必死に輝かせて死んでいった」
「そしてその光を次のものが受け継ぎ」
「さらに光輝かせるのだ」
「そうやって人はつながり」
(©原泰久/集英社 第40巻より抜粋)
人の行動の一番深いところにある原動力は心であり、意志です。
そのために自らの意志を立て、またその意志を受け継ぎながら自分の人生を光輝かせることは本当に美しいですね。
師を超えてこそ証明されるもの
夢半ばで散っていったものたちは、歴史上の人物でも今の時代でもたくさんいます。
そんな彼らが何を想い何をしようとしていたのか。
そして、その先にはどんな設計図、ビジョンを描いていたのでしょうか。
受け継がれた者が意志をもって自分の人生という光を輝かせ、いずれその大望を達成し、師を超えていくからこそ師の存在も含めて強く歴史に残すことができます。
秦国国王の政が曽祖父である昭王の夢でもあった"中華統一"による争いのない世界を目指し、後の始皇帝になったように。
脈々とその意志は受け継がれて具現化されていきます。
全ての歴史の意志を受け継ぎながら、全人類がNoが言えないビジョンの実現に向けて走っていきたいですね。
(漫画「キングダム」についてはこちら)